アートドキュメント24回目は、静岡市在住の造形作家 占部史人氏の個展を開催します。浄土真宗の寺に生まれた作家は、廃材や捨てられたものすべてに魂が宿るという考えから、拾い集めた素材をアート作品化し、新たな命を吹き込んで、再び世に送り出す活動を続けています。その根底には「全ては流転する」という仏陀の精神が流れています。展覧会タイトル「ガンジス河の砂の数ほど」は、仏典で「無数の」という意味で使われる「恒河沙(ごうがしゃ)」から名付けられました。考古学に興味があり、その土地固有の歴史や風土から着想を得て、地域ならではの素材から生まれる占部作品は、どこか懐かしく人を和ませます。
ステイホーム中に制作した《箱の生活》は、ウィルスの見えない恐怖と向き合う世界中の人々が感じる「無数の孤独」に対する作家自身の想いが込められています。メインとなる最新作では、宇宙空間に漂う星々に見立てた宙づりの縄文土器やガラス製の矢じりが、時空を超えても変わらぬものの象徴として表現され、壮大な古代へのロマンを感じさせます。また聖なる「ガンジス河」から派生して、乾いた大地を潤す「川の流れ」をテーマに、古紙に描いた大作のドローイングも展示します。そして森の中には、ブリキ板で作ったトラックやショベルカーなど、ユニークな野外展示も行います。それらはコロナ禍中の現代人の孤独を象徴しながらも、小さなオブジェが発する夢や希望を託しています。夏季に現地制作したアトリエ小屋《UFO STUDIO mini》を会場内に移設するなど、金津創作の森でしか実現できない、心癒される占部ワールドをぜひご体感ください。
※都合により内容・日程に変更が生じる場合がございます。予めご了承ください。
みんなでいっしょに作品を見ながら、自由にお話をしましょう。